インフルエンザにかかったとなると、薬を飲まなくては!というようなイメージをもっている方も多いと思います。では実際、薬を飲まないとどうなってしまうのでしょうか?
インフルエンザは自力で治すことも可能
インフルエンザは、若くて健康な方であれば、治療しなくても自然治癒することがほとんどではあります。
インフルエンザ治療薬(抗ウイルス薬)を使用しない場合の典型的な経過は次のとおりです。まず、寒気と頭痛とともに急速に38度から40度の熱がでます。関節痛、筋肉痛、だるさ、食欲不振、咳、くしゃみ、喉の痛みも伴うことがあります。発熱は3~4日ほど続き、症状が回復するまで1週間ほどかかります。
薬に対してアレルギーがあったり、熱が出始めてから48時間以上経過していたりした場合は、薬の効果が期待できないと言われているため、その場合は以下のことに気を付けてゆっくり休みましょう。
・家で安静にして、睡眠をしっかりとる
・こまめに水分をとる(高熱による脱水の予防になる)
・解熱のためには、首(頸動脈が触れるところ)、脇の下、太もものつけね(腹側)などを冷やす
・解熱のためには、汗をかいたら、すぐに着替える
・室内の加湿をして、新たなウイルスによる風邪などの合併症を防ぐ
・消化のよい食事できちんと栄養を摂取する(タンパク質を多く含み胃に負担をかけない卵や豆腐が勧められる)
インフルエンザ治療薬の効果は?
ではインフルエンザ治療薬(抗ウイルス薬)の効果とはどういったものなのでしょうか。
まずは高熱が出ている時間を縮めることが期待できます。インフルエンザは38度以上の高熱が出ることが多いので、その状態を少しでも短くしたいものですよね。さらに持病をお持ちの方にとっては命にかかわる合併症をおこすリスクを減らしてくれることもあります。
特に、
・65歳以上
・慢性呼吸器疾患
・慢性心疾患
・腎機能障害
・免疫不全疾患
に当てはまる方は、インフルエンザの合併症として重症な肺炎などを起こして、命にかかわるような状態になる可能性あります。また、乳幼児も抵抗力が弱く、熱性けいれんや中耳炎、脳症などの合併症を起こす心配があります。このような方は、重症化を防ぐために薬による治療を受けることが望ましいのです。 そのため若くて健康な方に関しても、同居の家族に上に挙げた合併症になるリスクの高い方がいる場合には、薬の力を借りて早く体力を回復させた方がよいでしょう。
基本的には病院に行き、治療を受けましょう
インフルエンザは薬がなければ絶対に治らないという病気ではありませんが、よほどの事情がない限りは治療を受け、少しでも早く体力を回復させましょう。感染力が強い病気であるため、感染した本人だけでなく、周囲の方にうつしてしまう可能性もあります。
学生の方は「学校保健安全法」という法律があり、インフルエンザにかかってしまった場合、「インフルエンザ発症後5日を経過し、かつ解熱した後2日(幼児は3日)を経過するまで」休学しなければならない、ということが決められていますし、社会人の方に対しては、インフルエンザに感染した際、仕事をいつまで休まなければならない、という法律はないものの、どの会社や職場においても、たいてい「学校保健安全法」と同様な日数期間を休職しなければならないとされているようです。
自力で治癒することが可能とはいえ、学校や会社を休まなければいけませんし、診断書ももらう必要がありますので、自身の回復、そして感染の拡大を防ぐためにも、まずは早期発見のために、38度を超える熱が1日以上続く場合は必ず病院へ行って診察を受けましょう。